中国は大きすぎる

 

現代の世界において、中華人民共和国というのは中国共産党に支配された世界で唯一の帝国である。冷戦が崩壊した今日、世界約200カ国の中で、中華人民共和国のみが国家としてみなすには異常である。中国共産党は台湾は国ではないと言う。しかし、現在の台湾は国民が自分たちで国家元首(総統)を選出する立派な独立民主主権国家であり、他のアジア諸国と比べても民主化の進展度は非常に高い。誰がどう考えても立派な独立国家であり、中国共産党に台湾の将来についてとやかく言う資格は全くない。台湾と比べると中華人民共和国は時代遅れの共産党一党独裁であり、到底国とはいえない。帝国とは複数の国の寄せ集めのことである。つまり、実際には中華人民共和国の中には複数の本来ならば独立するべき国が存在しているのである。

歴史的に見れば中国が今ほど大きくなったのは清代の半ばである。それ以前の歴代中国王朝のほとんどは今の中国の領土の半分にも満たなかった。中国四千年の歴史を科学的に調べれば調べるほどはっきりしてくる。四千年の中国とは実際にはもっと狭い範囲をさしているのである。中国共産党はよく「歴史的に見て」どうのこうのとよく言う。しかし歴史的に見れば、現在の中華人民共和国の領土は中国の領土でなかった部分が圧倒的に多い。歴史的に見て中国はひとつではなかったし、様々な独立国家が存在してきた。唐と宋の間に「五代十国時代」というのが50年ほど続いた。この時代の中国の面積は日本とほぼ同程度でそれ以外に十もの王朝が存在していた。宋の時代には北方に金という宋より強大で面積も大きく、宋を属国化に置いた王朝も存在した。しかもこの時代には遼、吐藩、大理など様々な王朝が存在した。元朝にいたってはあれは事実上モンゴルの王朝であり、その時代に中国王朝は存在しなかったと考えるのが科学的な歴史学から言えば妥当である。明代の中国は宋よりかは大きかったが、チベット、東トルキスタンや内モンゴルなどは明の領土に入ってなかった。清の時代にしたって、その時代の半分ぐらいは東トルキスタンやチベットは全く無関係であった。清王朝の最盛期には今の中華人民共和国よりも広大な面積を「所有」していたが、これも相当強引な解釈である。18世紀後半に清朝はチベットを「領有」することになるが、実際にはただ単に総督をおいただけで、全く何もしていない。わかりやすく言えば現在の英連邦だと思えばよい。英連邦にはカナダ、オーストラリア、マレーシア、シンガポール、インド、パキスタンなど様々な国が加盟している。もし清代にチベットが中国であったというならば、現在のオーストラリアもインドも独立国ではないということになる。それぐらい、チベットは歴史的に見て中国であったという理論はばかげているのである。であるからして清代のチベットや東トルキスタンは中国の「影響下」にあったというのが正確である。いうなれば日本だって歴史的に見れば中国の「影響下」にあった時代が結構長い。中華民国の時代にはチベットや東トルキスタンは完全に中国とは別の地域となった。その当時に欧米で作られた世界地図では「China」は今の半分程度の面積しかない。

 歴史的に見て中国が決してひとつでないことはこのように充分明らかなのだが、そのほかにも現在の中華人民共和国が大きすぎるという理由はいくつもある。「中華人民共和国が経済大国となることは全世界にとって迷惑である」の項で述べたとおり、中国共産党は帝国の拡大を目論んでおり、ただでさえ大きい中華人民共和国の領土をさらに大きくしようと虎視眈々と狙っている。台湾、日本、モンゴル、ロシア、インド、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ミャンマーなどは中国共産党の直接的脅威を感じているはずである。

 また、中国が大きすぎることは中国人自身にとっても弊害が非常に多い。まず当然のこととしてチベットや東トルキスタンはどう考えても中国ではなく、中国共産党帝国の植民地である。第二次世界大戦後、アジアやアフリカ諸国のほとんどが独立した中で、いまだに植民地支配を強いられているチベット人やウイグル人はどれほどの屈辱感を感じていることだろうか。総じてこれらの少数民族は日本人に優しい。かつて日本人が中国と勇猛果敢に戦ったことを快く思っているようだ。「幻の東トルキスタン共和国を行く」という本に書いてあったが、ある日本人女性ジャーナリストが上海でウイグル人のグループと仲良くなり、ウイグル人の老人が「戦争であんたたちが勝ってくれれば良かったのに。そうすればわれわれの国は中国に侵略されることはなかったんだ」と述べたという。いつか必ず、彼ら自身が自分たちの国を持ち、真の平和と幸福が訪れる日がくることを願ってやまない。

 中国が大きすぎて困るのは少数民族だけではない。中国全体の発展にとって大きな障害である。中国共産党は沿海部の開発ばかりやっている。中国には見た目だけよくして中身はいい加減にするという困った習慣がある。中国共産党は中国の表玄関である沿海部ばかり開発して、内陸部は後回しである。特に南部の開発には台湾侵略という中国共産党にとって経済発展よりももっとはっきりした目的があるのだ。沿岸部の高速道路にはいつでも軍事転用できるようになっているものが多数ある。中国共産党にとって一番の目標は経済発展や国民の幸福などではなく、帝国の拡大であることが明らかであろう。内陸部はいつまで経っても置いていかれる。最近は「西部大開発」などということが言われ、内陸部の開発にも力を入れるようになったように見える。しかし、中華人民共和国は2008年に北京オリンピック、2010年に上海万国博覧会を控えている。この二つのビッグイベントを中国共産党はほかの地域の開発をそっちのけで力を入れて成功させるだろう。そして極端にナショナリスティックな開会式を見て、多くの外国報道関係者がため息をもたらすに違いない。

 私の提案は中国を7つか8つぐらいの国に分裂させることだ。そうすれば諸外国に対する脅威はたちまちなくなるし、今まで開発が遅れてきた内陸諸国は先進国から直接援助ももらえ、内陸部を重点的に開発することができる。また、中華人民共和国という国は建国以来常に諸外国と対立し、摩擦することによって国家がなりたっている。このような国家運営は国家にとっても国民にとっても負担が大きい。現在の中国の最も憎むべき敵は日本である。2005年の5月には中国各地で数万人規模の暴動があったことは記憶に新しい。だが実際には中国の経済発展のためには日本との関係は不可欠である。その一方で日本と対立しなければ国家としてやっていけないという深刻な矛盾のを抱えている。

 このような閉塞した状況から抜け出すためにも、中国はいくつかの国々に分裂してそれぞれやっていったほうが、中国人自身にとっても幸せだろう。分裂したら大国ではなくなるので自分の国に誇りはもてない、と感じる中国人もいるだろうがその心配はいらない。分裂しても一つ当たりの国の面積は日本人の約4倍、人口は2倍。ちょうどインドネシアと同じぐらいである。分裂しても十分大国であり、十分誇りが持てるはずだ。

 

 




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