講演会「社告・中国経済の真相」リポート

 JR有楽町駅で下車し日比谷口から出るとすぐ目の前にあるのが有楽町電気ビル。ここの20階にある日本外国記者クラブで9月25日、アメリカ新唐人テレビ局主催の講演会「社告・中国経済の真相」が開催された。私は大紀元からの招待という名目で会費を免除してもらった。
 午後4時10分ごろ、講演会は始まった。司会者の挨拶の後、台湾大学前経済学部長・張清渓教授の講演が始まった。以下はその講演内容の要約である。
 中国経済は表面的には良好なように見える。毎年高い経済成長を記録し、今や外資受入額も外貨準備高も世界第一位、貿易総額は世界第三位である。
 その一方で現在の中国の経済・社会には言い尽くせないほど数多くの問題を抱えている。大雑把に言って、

会場の様子。エアコンが効きすぎて寒かったです。

財政赤字
GDPの捏造
金融機関の不良債権
国営企業の赤字・及びその隠蔽
失業
地域格差の拡大
貧富の差の拡大
農村の貧困問題
汚職腐敗
社会道徳の退廃
教育の退廃
環境破壊


などが挙げられる。それではこれらひとつひとつの問題について具体的に検討していこう。
中国の2004年のGDPは13兆6516億元。財政収入は2兆6356億元、財政支出は2兆8368億元。赤字は約2千億元である。この数字だけ見れば日本の財政と比べてもさほど深刻とは思えない(「深刻とは思えない」というのは張教授の発言ではなく、私自身の意見)しかしこのほかに中国の財政は養老金に多額の赤字を計上しているという。その額は97年140億元、98年450億元、99年1000億元、00年2000億元、03年4700億元、04年6000億元、05年には1兆元に達するという。これらは主に人民の銀行預金が使われている。そう考えると、実際には中国政府の財政は収入が2兆6356億元で赤字は1兆2千億元ということになる。にも関わらず養老金を必要としている定年退職者1億5500万人のうちわずか15%にしか支払われていないという。中国の財政状況に関しては以下のページで閲覧できるが
http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/yb2004-c/indexch.htm
これによると、中国の全ての地方政府の成長率は、中央政府の数字よりも高くなっている。2004年12月に温家宝首相は地方性に対し、勝手に数字を捏造してはならない旨の通達を出した。確か前世紀末にも朱榕基首相が同じような通達を出していたような気がする。
 中国経済の深刻さはほかにもいろいろある。一つは過剰在庫。80年から93年にかけて中国のGDPの約7%が在庫によって占められていたという。OECDの規定では在庫がGDPの3%を超えたらそれは余剰在庫である。古都で有名な陝西省西

右側が張教授。左側は通訳。

安氏に世界最大規模の自転車工場があるが、この工場は500万台の売れなくなった在庫を抱えている。西安市民は西安製の自転車には絶対に乗らないらしい。理由はすぐ壊れるからだ。どのぐらい壊れやすいかというと、「見ただけでその自転車は崩れ落ちる」と言われるほどだ(筆者コメント:これが比喩なのか、本当に眺めていたら自転車が崩れてしまうのかはわからない)。その工場は8万5千人の労働者を養うため、今日も売れない自転車を製造し続けている。

 政府の発表では中国の都市部の失業率は5%。しかし全国総工会の推計では12%、北京理工大学経済研究室主任によれば20〜40%に達する。貧富の格差を現すジニ係数も(ジニ係数は0が完全な平等、1が完全な不平等、つまり一人が全ての富を独占した状態を表す)0.6に達している。ジニ係数は0.4を超えると社会不安を引き起こし、中国の現在の数字は暴動寸前の状態である。
 「三農問題」ともいわれる農村の貧困問題は主に政府の搾取によって引き起こされている。どれほど搾取がひどいかというと、農民が何か商売をするためには、工商局に営業免許、生産許可、営業登記、家族計画(一人っ子政策)の証明書、生産許可証、検査報告、設備リスト、軽量審査、税務登記、国税、地方税などを提出しなければならない。さらに衛生局に衛星許可証、外観設備、重機金属、などなどわけのわからない申請をしなければならず、さらに質量技術監督局にも様々な書類を提出するなど、全部で40以上の手続きが必要だという。また、農民が結婚するためには結婚証明書申請費用、紹介費、婦女・養母の保険費、婚姻公証書の費用、婚前検査費用、母子保健費用、一人っ子政策への保証金、宴会費用、結婚緑化費用、児童施設建設費用、計画出産保証金、老後生活の保証金、夫婦が愛し合うと言う保証金、金婚式の保証金などが徴収される。
 このような状況をみかねた当時の朱榕基首相が、農民が家を建てるときは、5元の土地証書のみを支払えばよく、それ以外は一切の費用を徴収しないと通達した。その結果、農民は土地を家を建てる際に地方政府から土地有償使用費、権属変更費、造地費、開墾費、受益金などで計5000元を徴収したのである。5000元は都市部で生活する中国人の二か月分の収入、農民であれば年収に匹敵する金額である。
 結局のところ農民は生産活動をすればするほど政府からの搾取によって吸い上げられてしまうのである。
 悪徳役人は吸い上げるだけ吸い上げてその後は外国へ逃亡することも少なくない。今、カナダの新興住宅地には中国共産党幹部が次々と豪邸を建てていると言う。
 このまま腐敗が続けば間違いなく国は滅びると考えてよい。しかし困ったことに腐敗に反対すれば党が滅びてしまうという、絶望的な無人を抱えている。
 中国の環境破壊ももはや絶望的な水準である。中国はよく世界の工場などと言われるが実際には世界のゴミ捨て場と言っていい。衛星写真で地球を見るとよくわかるが、ちょうど中国の領域の部分だけ緑が少なくなっている。
 これほど数え切れないほどの問題を抱えていながら、なぜ中国経済はいまだに成長を続けられるのか。これにはいくつかの理由がある。一つ目は年間40%にも達する世界一の貯蓄率、二つ目は世界第一位の外資受入額、ここからが重要だと思うが三つ目として徹底した情報管理によって、中国経済の危うさが人民に知れ渡らないようにしていること。四つ目として世界最悪の政権によって人民が押さえつけられ、共産党の思い通りにコントロールされていること。
 共産党体制に救いはあるか。答えは"不可能"である。中国共産党の本質とは嘘と暴力で固められている。中国共産党の唯一の目的は政権の維持であり、人民の幸福などどうでもいい話である。
 中国共産党は絶対に改革をしない。なぜなら改革=崩壊につながるからだ。いずれにしろ中国共産党は必ず崩壊する。張教授はかなり短期的に見ている。一般的に多くの人々は中国共産党政権の崩壊はオリンピックのある2008年以降と見ているが、張教授は2006年、つまり来年頃ではないかと推測している。もしかしたら明日かもしれないとまで考えている。
 中国ではすでに西暦2000年に10万件の集団暴動が発生している。しかもこれは政府が把握している統計だから実際にはもっと多い可能性もある。
張清渓の話は以上のとおりである。

次に台湾対中国投資被害者協会理事長高為邦博士の講演でテーマは「対中国投資トラブル対策」。自身の中国ビジネスでの体験を元に、中国ビジネスの危険性について述べ、中国には絶対に投資しないようにと述べていた。
 30分ほどの質疑応答の後、講演会は終了した。終了直後、正面に座っていた女性から「すいません、マスコミ関係の方ですか」と話しかけられた。講演会の最中、私は猛烈な勢いでメモを取りまくっていたのと、頻繁に立ち上がっては写真撮影をしていたことから、マスコミ関係者と誤解されてしまったようだ。その女性は大紀元の記者で、今回の講演会についての感想やご自身の考えなど、何でもいいからをカメラに向って少し話してほしいという。気がつくと新唐人テレビの記者とカメラマンが近づいてきた。どうしよう、と少し考え込んでしまったが、私は今まで数多くの文章をサイト上に発表し、それなりに自分の考えは確立しているつもりである。たかが1〜2分程度のインタビューに答えられないでどうする。ということで、私は新唐人テレビのカメラに向って以下のようなことを話した。


中国共産党はまさに悪に悪を重ねた諸悪の根源です。この諸悪の根源を一日も早く取り除かなければなりません。
よく、一般的に、巷で言われていることは、中国共産党独裁は確かに良くないけれども、中国社会の安定のためにはしばらく共産党の独裁政権を続けて、このまま経済発展を続けていったほうがいいのではないか、このように考えている人が非常に多いんですね。
しかし私はそれは違うと思います。中国はすでに非常におかしくなっているんです。毎日あちこちで暴動が起きていますし、環境破壊も絶望的なレベルにまで進んでいます。これ以上共産党政権が続くと、本当に中国はどうなってしまうのか想像もつきません。中国人自身の幸せのためにも、一日も早く中国共産党を滅ぼさなければなりません。


このような経験は始めてであったので緊張しながらの話であったが、わりと長すぎず短すぎず、要点がわかりやすかったのではないか、と自分で勝手に思っている。
ところで、今回の講演会はだいたい参加者はスタッフなども含めて60人程度、有楽町駅の目の前という立地条件にあり、会場もなかなか立派で200人以上は入りそうである。大紀元の活動はまだまだ日本人の間に浸透していない。中国共産党に対抗するうえで、日本は大きな潜在的国力を有していると思うのだが、日本人、日本マスコミ、日本政府がいずれも消極的であるため、デモも講演会もそれほどの規模には発展していない。
民主主義というのは、みんなで団結すれば本当に大きな力となる。時には国を動かすことだって可能なのだ。私一人の力は非常に微々たる物であるが、今後も努力し続けて生きたいと思う。 

あれ、許世カイ大使からの花束が。講演者が台湾人だから許大使が花束を贈呈するのも不思議ではないのですが、新唐人テレビや大紀元主催のイベントで許大使の花束が飾られるということは、大紀元などは中国人が運営しているとは言え、偏狭な大中華主義には縛られていないということを意味していると思います。

 





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