中国共産党結党85周年特別論説A

 

ピークを過ぎた改革解放による恩恵

 

 中国共産党が政権を奪取して以来の約30年間、中国人民はそれ以前の人類が経験したことのない苦難を味わってきた。三反五反運動、整風運動、大躍進運動、反右派闘争、文化大革命などの革命に次ぐ革命、運動に次ぐ運動によって八千万人が殺害され、先祖が数千年かけて築き上げた文化遺産はことごとく破壊しつくされた。中国共産党は中国人の内面的な精神文化まで破壊した。中国人についてはよく嘘つき、ペテン師、利己主義、他人の不幸を喜ぶなどの醜悪な民族性が語られる。これらは中国人の数千年の歴史によって培われた伝統文化というよりは、中国共産党による極端な悪政によって培われた要素のほうがはるかに大きい。1949年からの約30年間、中国人民はひたすら他人を騙し、他人を罵倒し続けてきた。そうしなければ自分の生命、生活が維持できなかったからである。
 1979年から改革解放政策が始まり、諸外国の文化、情報が中国にもたらされるようになった。あれから27年、確かに中国人は以前と比べれば生活水準、教育水準、文化水準が向上した。中国共産党の悪政も北朝鮮よりかはましになった。経済面では(総合的に見て)世界200カ国のなかの真ん中ぐらいにまで向上した。30年前のように、ひたすら他人と口論し、罵倒しなくても生活していけるようになった(昔と比べればという意味であって、現在でも中国人の日常生活は諸外国の人間と比べると人間不信や口論、罵詈雑言が比較的多いと、私は自らの実体験によって感じている)。都市部では所得が向上し、近代的なマンションに住み、電化製品を買い揃え、普通に友人関係や恋愛関係を育み、就学し、就労する。どこの国でも見られる普通の暮らしを営むようになった。大半の中国人は30年前と比べれば幸福の度合いが増したに違いない。
 だが2006年をむかえた現在、改革解放による恩恵ももはやピークを過ぎているように思える。改革解放による経済発展は生活水準の向上をもたらす一方で、様々な弊害をもたらしている。それが90年代頃までは経済発展によるマイナスよりもプラスの要素の方が大きかったのでまだましであったが、21世紀に入ってからは、マイナス面の方がより目立つようになってきた。私の観測では、中国の改革開放政策による恩恵は2000年〜2004年頃がピークであったように思う。現在ではマイナス面がプラス面を上回り、中国人民の生活レベルや幸福度は下降に向っている。まだもうしばらく経済そのものは成長し続けるであろう。だがもはや中国人民は少しずつではあるが、様々な害を被るようになっている。
 具体例を挙げよう。中国各地で水不足と電力不足が深刻化し、水道料金は極端に高騰、冬になると毎週のように停電が頻発する。北部では黄砂の被害が深刻化。北京での黄砂被害は日本のテレビでも報じられているが、西北部ではほとんど毎日黄砂に見舞われている。エネルギー危機も深刻化し、中国政府が世界中から石油を巻き上げて世界規模の原油価格高騰を招いているのは周知の事実である。頼みの石炭も、経済発展を優先するあまり炭鉱事故が頻発、年間6000人の労働者が炭鉱爆発事故で亡くなっている。砂漠化、森林破壊の進行によって農地面積は急減、さらには毎年のように破壊的な大洪水を引き起こすようになっている。洪水問題は東南アジアにまで拡大する国際問題である。大気汚染、水質汚染も深刻化、60年代の日本の四代公害のような悲劇が中国各地で起こっている。サーズや鳥インフルエンザ、エイズなどの疫病も全国規模で流行するようになった。
 学生の就職難も深刻で、大学を卒業しても約3割の学生は仕事がみつからずに路頭に迷っている。大卒の初任給も2000元程度でこの数年はほとんど上がっていない。経済が好調であるにもかかわらず、失業率、不良債権、財政赤字は一向に改善しない。だが中国政府は貿易総額や貿易収支、インターネット利用人口や携帯電話保有台数などの好調な数字ばかりをアピールして中国経済の暗部を目立たないようにしている。そもそも中国の経済発展とは、不当に低く抑えられた人民の労働賃金と、不当に低く抑えられた人民元の為替相場、無制限の著作権・知的所有権侵害によってもたらされたものである(知的所有権侵害は短期的には経済発展にプラスとなるが長期的には必ずマイナスとなる)。中国共産党の悪政によって経済発展するという何とも皮肉な結果だ。それによって恩恵を受けるのは少数の人たちであり、多くの人民は奴隷のようにこき扱われ、外国人は多大なる迷惑を被ってきたのである。
 中国共産党による独裁政治は健在である。もちろん文化大革命当時よりかはましだが、特にこの1、2年はそれ以前よりも統制が強化され、封建独裁時代へと後戻りしている。中国共産党にとってインターネットは脅威である。アメリカのIT企業を巻き込んでの超強引なネット検閲により、ネット上の発言によって逮捕されたり、サイトが強制的に閉鎖されるなどの事例が後を絶たない。新聞や雑誌が停刊に追い込まれるなどの事件もしばしば起きている。
 法輪巧への迫害は残虐さを増す一方で最近では法輪巧学習者から生きたまま臓器摘出を行うという凌遅刑に匹敵するような残虐行為がいまだに行われている。ほかにも中国共産党に忠誠を誓わないキリスト教会などが頻繁に公安によって襲撃され、弾圧を受けている。
 日本、台湾への強烈な敵対政策はもはや言うまでもないだろうが、私の観察では中共の対外的な敵対政策によって中国人民自信も大いに迷惑している。反日暴動で起こった破壊行為は例外的事例だとしても、中国国内の日本料理店や日系スーパーでは従業員のほとんどが中国人であるにも関わらず、昨年の反日暴動とは関係なく頻繁に不買運動の対象となっている。中国では漢字文化圏に対する親しみもあって日本語は英語の次に人気のある外国語であるが、日本語を専攻する学生は例外なく「何で日本語なんか勉強するんだ、この売国奴!」などと罵倒された経験がある。中国人の潜在的排外思想は強烈なものがあり、アメリカの同時多発テロの際も、イギリスの地下鉄爆破テロの際も、インド洋の津波事故の際も、ネット上の掲示板では外国の悲劇を喜ぶ書き込みが殺到した。
 農村の貧困問題については10年ほど前からいろいろと対策が行われているがほとんど効果を挙げていない。それもこれも中国共産党はそもそも軍事力拡大や高層ビルの建設やオリンピック開催のほうや中国共産党封建独裁政権維持のほうが重要であり、農村の貧困問題などどうでもいいことなのだ。当然ながら農民の不満をすでに限界を超えており、年間10万件の暴動が発生していることは日本の新聞や雑誌でもしばしば取り上げられている。それでも今まで暴動といえばだいたい農村部で起きていたので滅多に表ざたにならずに住んでいたが、最近では都市部の住民の間にも不満が蓄積し、大学などでしばしば暴動が発生、外国のマスコミにも情報をキャッチされ、報道されている。
 中国共産党は独裁政権の安定が最重要課題であるので、人民の生活を安定させるための治安維持はかなり疎かになっている。油の再利用や腐った肉でハムを生産するぐらい朝飯前、毒入り食品、毒入り薬品、毒入り粉ミルクが大量に出回り、もはや中国では安心して食事をするのすら難しい。日本であればトップニュースとして騒がれるであろう児童殺害事件など、中国ではあまりにも頻繁に発生しているので非常に小さい扱いしか受けない。
 どんな国でも経済発展の途上で様々な諸問題が噴出するものだが、中国の場合、中共政権の改革解放による恩恵はすでに頭打ちに来ている。そもそも中国共産党にとっては国家の威信拡大が最重要事項であり、人民の幸福には無関心である。万里の長城や兵馬俑を築いた始皇帝と同じ発想だ。中国の政治は2千年間進歩していないのだ。
 今後は経済が発展すればするほど人民の苦痛は高まっていくことであろう。それどころか中国は大気汚染、酸性雨、黄砂、洪水、大型クラゲ、伝染病などを世界中にばら撒いて全世界に苦痛を与えているのだ。世界中が一致して中共政権下での経済発展を阻止し、中国共産党の息の根を止めねばならない。

 





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