中国民主・人権活動家魏京生氏来日、東京で講演会!

 米国在住で、世界的に有名な中国民主活動家の魏京生氏の初来日が2006年10月21日に実現した。翌22日に神戸市で講演会を行った後、28日に東京で大紀元時報主催による講演会が開催された。
 魏京生氏は1950年安徽省生まれ。1978年の第一次天安門事件を機に民主化運動の指導者となり、1979年に逮捕される。1993年に釈放されると、外国のメディアに対し、人権問題や六四天安門事件などについて政府批判を繰り返したため、1994年4月に逮捕される。しかし国際社会からの圧力が強まり、1997年11月に釈放され、以後米国で生活している。中国の民主活動家には、中国共産党には批判的な一方で、台湾独立建国運動や、チベット、東トルキスタンの独立運動には冷淡な者が多いが、魏京生氏は台湾を幾度も訪問し、与野党分け隔て無く交流し、中国共産党による台湾併合の動きに警笛を鳴らしているという。

左端が魏京生氏、右端は通訳。

 講演会ではまず黄慈萍氏が中国海外民主活動連絡会議の活動について紹介。中国における人権問題に重点的に取り組み、特に魏京生氏の活躍によって海外からも関心と支援を受けている。中国共産党独裁政権が続くと、アジア全般のを不安定な情勢に追い込むとの懸念から、欧州の対中武器禁輸措置も指示しているという。
 続いて大紀元記者の張本氏が短い講演を行った。今回の魏京生氏の来日の際に、超党派の国会議員を対象に講演会が行われ、今や中国で共産党を支持する人はほとんどいないこと、中国共産党独裁政権はアジアのみならず、全世界の脅威となりうることを強調したことを伝えた。また、張本氏は大紀元時報創刊以来、2ヵ月後には丸5年になり、九評共産党が中国人に伝わり、脱党運動が急速に進んでいることも強調した。

黄慈萍氏
大紀元記者の張本氏

 そして魏京生氏による講演が始まった。以下にその要約を記そう。
 清朝末期に日本の立憲民主主義を実践しようと試みたが失敗し、孫文を中心とする暴力革命が起きたが、これも失敗に帰すことによって中国民衆の多くを失望させる結果となった。その後、共産主義革命を成し遂げたソ連に着目するようになり、日中戦争勃発によって毛沢東に大きなチャンスをもたらし、日中戦争終了後、毛沢東は中国を独裁主義に導いた。中国民衆は、すぐに騙されたと気づいたが、時既に遅し、中国史上最も暗黒の30年を迎えたことは言うまでもない。改革開放が始まってからも民主活動家の多くが弾圧され、中国人の多くは共産党政権の民主などニセモノであると認識できるようになった。百年近い歳月をかけ、中国人の多くは複数政党制が必要であるとの認識を持つようになっている。

魏京生氏の講演

中国人の間でも多様な考えが存在するが、一致しているのは平和的な方法での民主化を望んでいるということである。多くの中国人にとって、民主化を確立した台湾はうらやましい存在である。しかし国民党は設立当初から西洋の民主制度を学んできており、台湾の経験は中国には当てはまらない(私自身はこの点についてはやや疑問に思っている)。では、かつて共産党一党独裁から民主革命を成し遂げた東欧の例が参考になるのか。だが、中国共産党はむしろソ連、東欧の例を教訓にして、民衆にその機会を与えまいとしている。
 魏京生氏がひとつ注目しているのは共産党内部の軋轢である。中国共産党幹部でさえ、中国の現体制など信用していない。現在の一党独裁など、幹部が自分の利益を庇護するための集団に過ぎない。彼らはこの独裁制度のおかげで利益を貪っているのである。近年、中共内部の軋轢がますます強まっており、激しい権力闘争が繰り広げられることによって体制が崩壊する可能性がますます強まっている。
 数年前にアメリカでアジア民主連盟が結成され、東アジアの幾つかの組織が参加している。彼らの共同認識は中国の民主化を推進すべきというものである。中国はアジアの独裁国家の大本営であり、他の独裁悪政政権を庇護する存在である。中国が民主化しないことには他のアジアの独裁国家の民主化も難しい。そのためには中国共産党を崩壊に導くこと、そうしてこそ真の民主主義の第一歩となる。その時に備えて我々は準備をしなければならない。その次期は決して遠くないと信じている。
 魏京生氏の講演は1時間ほど続いた。膨大な内容であったがここではごく簡単に要約することとした。アメリカを拠点に世界で幅広く活躍する魏京生氏は、単に中国のみならず、アジア全体の平和と民主主義のためにも中国共産党を崩壊に導くべし、という優れた大局観を示してくれた。

高峰一氏

続いて、当サイトでも度々紹介している高峰一氏が講演を行った。高氏は2つの問題を提起した。一つ目は中国の民主化について、二つ目は日本社会への期待について。

 まず民主化についてであるが、独裁国家で生活したものは、民主社会を理解していない。一方、民主国家で生活しているものは、独裁国家というものを理解していない。独裁国家で生まれ育った人間というのは、民主国家で育った人間の思想と根本的に違っている。独裁国家の人間は長年の経験から政府を信用しなくなっている。日本人は税金を払うのが当たり前と思っているが、中国人はなんとかして税金を逃れようとする。日本の公務員は国民の利益を第一に考えるが、中国では賄賂がないと公務員は動いてくれない。
 中国では民主化は不要、もしくは時期尚早という考えがある。中国人民の道徳基準がまだまだ低いため、民主化はまだ早いというものだ。だがそこまで道徳レベルを低下させたのが中国共産党一党独裁である。また、中国人民全てが道徳レベルが低いというわけではなく、近年は次第に道徳レベルが上昇している。中共脱党運動が平和的、理性的に行われ、中国共産党とその関連組織の脱党者数が1400万人を超えたのがその証である。
 続いて日本社会への期待について。高氏は、中国共産党政権には絶対に期待しないでほしいと警告している。靖国問題や歴史認識問題など、日中両国間には摩擦が耐えないが、それらの多くは中国共産党の裏工作によって仕組まれているものであると、海外在住の中国人の多くは認識できている。
 日本のメディアは徐々に中国の現実を報道するようになってきているが、法輪功学習者に対する生体臓器摘出問題への姿勢など、日本メディアはまだまだ不十分である。高氏が1997年に来日した直後、ショッキングな事件が起きた。記憶している方も多いと思うが、神戸市須磨区で発生した中学三年生による小学生殺害事件である。連日この事件を大々的に報道するメディアを見て、高氏は日本社会は人命をとても尊重する社会であると感じたという(確かに、私が中国に滞在した経験から言っても、中国では人間一人殺されたぐらいでは、地方紙や地方テレビが少し取り上げる程度で、ほとんど視聴者の記憶に残らない)。高氏は日本のメディアに、中国共産党の人権侵害をもっととりあげてほしいと望んでいるのだ。
 21世紀のグローバル化時代を迎え、世界中が密接につながっている。特に隣国日本のメディア、社会は、法輪功学習者に対する臓器摘出問題やその他の人権問題に最も積極的な関心を持つべきだ。

魏京生氏に質問する安東幹氏

 魏京生氏は世界的に有名な中国の民主活動家だが、今回の来日が初めてとは意外であった。たまたま日本にいく機会がなかっただけなのか、それとも魏京生氏が日本にあまり期待していないのかはよくわからない。質疑応答時に魏京生氏は、日本政府、メディア、社会全般が中国の人権問題にあまりに無関心であることへの懸念を述べていた。確かに私もそう思う。日本は中国の隣国であり、歴史的にも経済的にも文化的にも深い関係にある。政治的にはなにかと摩擦が多いが、日本国内では中国、中国政府、中国人に対して友好的な者から批判的な者、分野によって好意的だったり批判的だったりする者まで様々な層が存在する。中国に対して友好的なものも批判的なものも、中国共産党が行う人権侵害、残虐行為にもっと関心を持つべきであろう。それこそが日本のためにも中国のためにも日中関係のためにもアジア全般のためにも有益なのである。

 

会場の様子

 

講演会終了後に参加者と懇談する魏京生氏

 


 




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