第九回 九評共産党討論会レポート

 

会場となった駒込社会教育会館

9月18日、中国では月を見ながら月餅を食べる中秋節と言われる伝統行事の日である。だがこの日の私は中秋節を祝ったのではなく、九評共産党についての第九回討論会に参加してきた。

 会場はJR山手線駒込駅で下車して約1分の駒込社会教育会館。15分ほど前に会場に到着すると数人の中国人が会場の設定をしていた。
 午後6時10分、司会の張本真さんが挨拶を始めた。参加者は全部で21人と、比較的小規模。日本人がだいたい5人で、あとは中国人か華人のようだ。まず九評共産党についてのビデオを見せられ、その後10分ほどの休憩。

司会を務める張本さん


 7時10分から三人の中国人による講演会が始まった。
 最初は工学博士の高峰一さん。高さんは1989から8年間中国で環境保護の仕事をしていたが、その後日本に渡り博士号を取得。中国の絶望的な環境問題について真剣に考えている。高さんの講演テーマは「黄河汚染及びその原因」。以下、内容を要約しよう。
 黄河は全長5464km。黄河自体は約100万年の歴史があり、中国の歴史を支えてきたまさに中国の文化遺産である。現在でも上流2千キロは比較的水が綺麗で1類、及び2類のレベル、つまりそのまま飲めるのだと言う。しかしやや下流に行くと農業になんとかつかえる程度となり、河南省などの下流まで行くと完全に汚染され、異臭を放つようになる。
 中国には優れたジャーナリストや記者がたくさんいるようだが、しかし残念ながら政府による厳しい検閲を受けるので、メディアで紹介されるのは比較的ましな情報である。中国のメディアで何らかの深刻な社会問題が報道された場合、真実はもっと深刻であると考えた方がよい。環境汚染にしてもそうで、テレビやインターネットなどで深刻な環境汚染が取り上げられた場合、それは政府の検閲をパスした比較的ましな状態であって、実際には環境汚染はもっと深刻なのだと考えたほうが良い。詳しくは下の写真をご覧いただきたい。

 
私も中国でこんな白い川を見ましたよ。
汚染により死亡したお魚さんたち。

 

汚染により藻が大量繁殖
雪ではありません。汚染物質です。


 黄河の汚染がなぜここまでひどくなったのか。中国政府筋の言い分は3つある。歴史問題、技術問題、失業問題である。ではひとつひとつ検証してみよう。
 まず歴史問題についてであるが、中国政府の言い分としては、工場を設立した当時は環境汚染のことは考えられなかった。今後汚水処理施設などを整備して徐々に改善していくというもの。しかしいくら歴史問題といっても、黄河が汚染され始めたのは中国共産党が政権を握ってからの約半世紀のことであり、特に改革解放後の30年未満の汚染が著しい。
 また技術的な問題であるが、そもそも中国の技術が遅れているために環境汚染が深刻化した。つまり技術が進歩すれば徐々に改善していくと言うものである。しかし中国の技術はほとんどが外国から輸入したものなのになぜ外国では黄河のような汚染が見られないのだろうか。外国ではすでに通用しなくなった古い技術を使用したり、様々な技術や設備を導入しても、経費節減のためにあえて汚水処理設備は導入しなかったり、汚水処理設備を導入しても使わないなどの原因がある。
 高氏によれば、技術問題とは実際には道徳問題であり、つきつめれば共産党政権の道徳的退廃が問題の根源となっているのだと言う。
 失業問題については、中国政府の言い分は、汚染の激しい工場を閉鎖すると大量の失業者が発生するというものだが、高氏によれば、汚染の被害者と工場の労働者を意図的に対立させ、政府は責任を取らないようにしているという。そもそも中国共産党は政権を維持することしか考えておらず、失業問題にさしたる関心を持っていないのである。
 結論を言えば、黄河の汚染などあらゆる問題の根源は中国共産党政権の道徳的退廃にあり、中国共産党を亡くすことが全ての問題解決への第一歩となるのである。
 続いて、民主中国陣線日本支部主席の李松氏の講演。テーマは「中共最近の動態」
 中華人民共和国憲法では、全ての人民は憲法によって管理されるとある。これ自体は世界的に見てもごく普通の法治国家の憲法であり、何ら理不尽なことはない。しかし実際のところ中国では中国共産党があらゆる憲法、法律よりも上位にある。どんな犯罪であっても本来ならば15年の懲役刑となるはずが2〜3年になったりする。共産党が裁判に介入すればたちまちのうちに問題が解決してしまったりする。共産党の政策は憲法、刑法、民法、商法などを上回り、この国の全てとなっている。
 この共産党による統治の下で、今の中国はまさに絶望的な状況である。
 李松氏の妻(日本人)が上海を訪問したときにゴミ処理施設を見学したところ、あまりにもお粗末であることに驚きを隠せなかった。日本では高温による焼却処理が行われるが、上海では大量のゴミは最終的には都市部から離れた農村部で焼却されるのだが、ほとんど野焼きに近い状態で、日本であれば違法である。大量の汚染物質が排出されるからだ。
 李松氏はハルビンの出身である。子供の頃はよく裸足で川に入って遊んでいた。川から出るとまるで革靴を履いているかのよう足が真っ黒になる。砂の中に大量の汚染物質が含まれているのだ。これは李松氏が子供のときの話であり、現代の子供たちはどうなってしまうのだろうかと、李松氏の心配は尽きない。
 現代中国では、環境問題に負けず劣らず、福祉や教育問題も深刻である。中国共産党はまさにこの国の文化と教育をめちゃくちゃにした。2億人の文盲を抱える中国では、多くの農村で子供を学校に行かせるために売血が行われている。採決しすぎてふらふらになってしまったと言う笑えない笑い話もある。注射針の共用によって住民の8割がエイズ感染した村もある。
 しかし一般的にテレビでは上海や北京市民の豊かな生活が描かれている。要するに今の中国はブラジルを上回る世界一の経済格差の大きな国となってしまったのだ。
 中国では医療制度改革は完全に失敗に終わったようだ。中国では医療は純粋な市場経済システムで動いている。実際にあった話だが、強盗に襲われおなかを刺された重症患者が病院に運ばれたが、手持ちの現金がわずかなため、手術を拒否され、命を失うこととなった。その一方で共産党の幹部などは立派な医療施設で治療を受けることができるのである。
 李松氏は本当はもっと沢山話したいことがあったのだろうが、時間の関係で中断することになった。
 続いて、新唐人テレビ局記者高潔氏の講演。テーマは「広州市太石村土地汚職事件から見た中共」。とはいっても時間がないため中国語で猛烈な早口で話し始め、途中から同時通訳もついたが、残念ながら結局何が何だかわからなかった。高潔氏はテレビ局の記者ということもあって、非常に綺麗な発音の中国語であった(中国人でもあれほど綺麗な発音の人は珍しい)。
 その後は30分ほどの質疑応答が行われた。
 今回の討論会に参加しての感想であるが、一般的に中国人は、中国が様々な問題を抱えていることは認めつつも、総じて中国は今良い方向に動いており、近い将来中国は世界一の大国となり、ばら色の未来を夢見ている人が非常に多い。しかし、今回講演した3人は中国社会の絶望的状態を直視し、将来を悲観的に捉え、中国をよくするためには中国共産党を打倒することが最優先課題であると考えている。今までこの手の意見は日本や台湾や欧米の記者、ジャーナリストから提起されることが多かったが、今回は中国人自身からこのような意見が出されていることは大いに注目に値すると思う。一般的に愛国心を持っている中国人とは実際には共産党にコントロールされている奴隷に過ぎず、彼らこそ真の愛国者と言えるかもしれない。
 今回はやはり時間の関係で私は彼らから直接意見を聞く機会をもてなかったが、大中華主義や台湾問題などについて彼らがどのような考えを持っているかは私が興味を持っている問題である。もちろん愛国心を持つことは大いに結構なことなのだが、大中華主義は諸外国に対してはもちろん、中国人自身にとっても災いの元であると私は考えている。中国人の幸福とよりよい未来のため、考えるべきことは非常に多い。
 

左から司会の張本真さん(大紀元記者)、高峰一さん(工学博士)、李松さん(民主中国陣線日本支部主席)、高潔さん(新唐人テレビ局記者)

 





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