天安門事件を風化させてはならない!

 

 実際のところ中国共産党はこの50年間でもっと大規模で残酷な虐殺行為をいくらでも行ってきているのだが、天安門事件は全世界に虐殺のカラー映像が流れたと言う点で世界史上でもめずらしい。改革開放から10年以上が経過し、外国人が多く集まるようになった中国で、しかも首都の一番中心部ともいえる天安門広場でその事件は起こったのである。

 天安門広場に集まり、武器など何も持たず平和的な手段で民主化を訴えた学生たちに対して、中国政府は人民解放軍を派遣し、大量の学生たちを銃で撃ち殺し、次から次へと虐殺していった。その数は2000人とも4000人とも言われているが、実態は不明である。

 天安門事件について、中国政府の決断はやむを得ないものであったとか、学生たちはあまりにも早急な変化を求めすぎたので、学生たちのほうにも責任があるというような信じられないような意見がある。いったい学生たちが何をやったと言うのか。彼らはテロリストでもなければ犯罪組織でもないのだ。私はこのようなことを言う者たちを心から軽蔑する。

 たしかに学生たちの要求は現実的なものではなかったかもしれないし、中国政府にとっても苦渋の決断ではあっただろう。しかしだからといって数千人規模の虐殺は絶対に正当化できない。そもそも学生たちが運動を起こした背景には耐え難いほどの社会矛盾、中国共産党があまりにも無能であることへの怒りが爆発したからにほかならない。悪いのは間違いなく中国共産党なのである。わたしは独裁政権というものを根本的に否定するつもりはない。独裁的であっても優秀でそれによって人々が豊かになり、幸せになるのであればそれほど不満は募らないはずである。特に発展途上国の場合、いわゆる開発独裁型の政権によって経済発展を成し遂げた例は多い。私は民主主義は普遍的な真理であると思っているが、国により、地域によりふさわしい民主主義の形は異なっているのである。中国のような世界最大の人口と世界で3番目に巨大な面積を有する国の場合、ある程度強い権力によって統治しなければ到底まとまりきらないであろうことは理解できなくもない。だが独裁政権はそれが優秀であれば良いのであるが、無能であると悲劇的な結果をもたらす。民主主義にはどうしても決断や政策実行に時間がかかるという難点があるが、そのかわり、常にマスコミや国民が政策をチェックする機能が働いているので、極端に悲惨な結果も起こりにくい。それが中国の場合は中国共産党という人類史上最悪の凶悪殺人組織によって支配されたのでこれ以上考えようもないほどの最低最悪の悲劇的結果を招くことになったのである。もう一度繰り返していうが、学生たちが天安門広場に集まって運動を起こしたのはそれぐらい中国共産党が無能であったからである。

 学生、その他国民の多くが首都の中枢部に集まると言うことは世界中にいくらでも起こっている。1986年のフィリピン革命は有名であろう。20年続いたマルコス独裁体制でフィリピンはすっかり疲弊した。そして国民とマスコミが一体となってマラカニアン宮殿(フィリピンの大統領官邸)に集まり、抗議行動を行い、マルコス大統領はハワイに亡命した。台湾では天安門事件の翌年、学生たちが首都に集まり、民主化を求める抗議行動を行った。これに対し李登輝総統は段階的に民主化していくことを約束し、学生たちは納得して去っていった。その後の台湾の目覚しい民主化はご存知の通りであろう。モンゴルでは1990年に国民が首都に集まって民主化を求めた。これに対し、モンゴル政府は社会主義一党独裁体制に終止符を打つことを約束し、大きな混乱も悲劇もなくおさまった。モンゴルがこれほど単純に社会主義一党体制から抜け出したのはモンゴルの政府それ自体がソ連の衛星国家のような状態から独立したい思っていたからと言われている。2001年にはユーゴスラビアでも国民が抗議行動を起こしミロシェビッチ大統領が辞任に追い込まれたのは記憶に新しい。

 現在の中国では天安門事件について語るのはタブーとなっている。それどころか一般の中国人の多くは13年前に自分の国の首都の中心部で起こった恐ろしい出来事を知らないのである。さらに恐ろしいことに現在の中国政府は天安門で虐殺があったことすら認めていない。遅浩田国防相は96年にアメリカを訪問したときに「私はあの時現場にいたから自信をもって言える。あの時は一人の学生も死んでいない。」と発言した。中国共産党一流のでっちあげである。このようなことは絶対に許してはならない。中国共産党は天安門事件は時間が経てば風化すると思っているらしい。そのうちみんな忘れてくれると思っているらしい。今のところ中国共産党は謝罪するつもりなど全然ないし、そもそも認めることさえしないのだ。

 今の日本は政府もマスコミも中華人民共和国に対して何も言えず、それどころか大昔のことで謝罪を繰り返し、莫大な金を献上すると言う、まるで完全に中華人民共和国の植民地となったようであるが、天安門事件のときほど日本の政府マスコミが一体となって中国を非難したことはなかったであろう。あの時はTBSのような左翼系のマスコミでさえも中国政府を激しく非難したし、日本共産党は中国共産党に共産党を名乗る資格はないとまで言い切ったのである。

 もはや起きてしまった歴史的事実は決して消し去ることはできない。ならばその事実を認め正式に謝罪し、それ相応の対処をすることが必要である。台湾では1947年に国民党政権がおこした二二八事件という虐殺事件について、1995年に李登輝が国民党主席を代表して2100万人の台湾国民に正式に謝罪している。実に48年の歳月がかかったわけだが、はたして中国でもそれぐらい時間がかかってしまうのであろうか。

 天安門事件のときに拘束されたある男性は刑務所の中で頭を壁に何度も打ちつけながら次のような叫んだという。「聞こえるものは聞いてくれ。俺は今度生まれ変わるとしたら中国人には絶対生まれてこない。中国人なんて嫌だ。悲しすぎる。」彼のこの声を無駄にしないためにも、天安門事件は絶対に風化させてはならない。絶対にタブーにしてはならない。もしあなたの近くに中国人がいれば、13年前に彼の国の首都の中枢で起きた出来事についてぜひ語ろうではないか。恐れることはない。それはその中国人に対する非難なのではなくて、中国共産党に対する非難なのだ。彼らはなかなか信じないかもしれない。しかし自信を持ってよい。カラーの映像が全世界に流れたのだ。中国人以外でこの事件を知らないものなどいないのだ。もしかしたら「われわれ日本人は昔中国人に対してひどいことをしたから、われわれ日本人が語るべきではない。」などと考えていないだろうか。それは考え方としては逆である。われわれ日本人には過去のひどい行いに対する反省があるからこそ、今現在行われている残虐行為に対してはっきりと抗議しなければならないのだ。もう一度言うが天安門事件は絶対に風化させてはならない。ひとりでも多くの中国人に対してこのことを伝えよう。そして自分の国の政府がいかに凶悪で残虐な殺人集団であるか教えてあげようではないか。

 

 

 

 




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