アバ州について
 

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四川省アバ・チベット族チャン族自治州は、広大な面積を誇るチベットの最東端に位置する。まさにチベットと中国の接点である。ラサを中心にしてみれば、アバ州はチベットの辺境と言えよう。
 だが、それはどこを基準にしてみるかによっても違ってくると思う。例えば福岡県に住んでいる人間にとって、東京よりも韓国の釜山の方が近いし、沖縄県宮古島から見れば東京よりも台湾のほうが近い。
 北海道に住んでいる人は、北海道の気候、風土、習慣に基づいて生活をしており、東京の常識は通用しない。外国から日本を見る場合も同様である。ウラジオストクから見れば、東京よりも北海道のほうがはるかに近いのだ。

これがチベットにも当てはまる。日本や中国のような外国から見れば、アバ州は実はチベットの入口とも言える場所に位置しているのである。アバ州は四川省の省都である成都から陸路で比較的気軽に訪れることができる。しかもこの地域には九寨溝、黄龍、四姑娘、臥竜パンダ基地など、日本人にもおなじみの観光地が多数ある。外国人にとって飛行機のチケットも入境許可証もいらない、親しみやすいチベットの一地方なのである。皮肉なことに中国共産党の植民地支配によって、中国からアバ州を訪れる場合はパスポートもいらない。今回はそんなアバ州について紹介したい。

アバ州は1953年に四川省チベット族自治区が設置され、1955年にアバチベット族自治州となり、1987年にアバ・チベット族チャン族自治州となって今日に至っている。

 広大なチベット全体から見ればアバ州はそれほど大きくはないよう思えるが、実はアバ州は84200平方キロメートルの広大な領域を誇る。北海道とほぼ同じ、韓国の9割近い。州政府所在地はマルカン県である。チベット古来の行政区分ではアムド地方に相当するが、一部はカム地方に相当する。人口は85万人、そのうちチベット人が52.3%、チャン族が17.7%、回族が3.2%、中国人(漢族)が26.6%となっている。これだけ広大であればそれなりの地域差、格差が生じるのは言うまでも無い。

アバ州の道路、ホテル、都市建設、電気や水道などのインフラは東部のほうが圧倒的に整備されている。東部のほうが中国に近く、中国人による開発の手が及びやすいのは確かかもしれないが、九寨溝、黄龍、四姑娘、臥竜などの世界的知名度を誇る観光地が東部に集中していることのほうがより重要であろう。アバ州はほぼ全域が険しい山岳地帯であり、鉄道、高速道路は通っていない。自転車や徒歩での旅行はあまりにも無謀なので、アバ州に行くには車かバスでの旅行となる。だが2003年9月に九寨溝黄龍空港が開港し、世界遺産九寨溝へのアクセスが飛躍的に便利となった。

中国とチベットの国境の街、都江堰市

 アバ州を訪れる外国人(中国人も含む)のほとんどは四川省の省都である成都市を経由することになるであろう。成都市から北西に50キロ進むと都江堰市に入る。都江堰市には都江堰水利施設と道教の聖地である青城山という二つの有名な観光地があり、西暦2000年に二つまとめて一件の世界遺産に登録されている。都江堰市からさらに西へ行くと、そこはもうアバ・チベット族チャン族自治州である。都江堰は中国とチベットの国境の街であるといえる。というと市内には中国的雰囲気とチベット的雰囲気が入り混じっているのかというと残念ながらそのような雰囲気はほとんどない。どこにでもありそうなありふれた中国の地方都市である。

 都江堰市は広大な四川盆地の西端に位置するが、アバ州に入ると途端に山岳地帯となる。やはりチベットは山だ。アバ州のような中国に隣接して中国の経済的影響を強く受けた地域でさえも険しい山と急な坂が続いている。ただし、チベットのウー・ツァン地方(主にチベット自治区)がはげ山だらけなのと比べると、アバ州は深い緑に覆われている。アバ州とほぼ同じ面積の北海道は比較的平地が多いのに対し、アバ州は全域が山だ。どうしたってチベット旅行は時間と労力が必要となる。

アバ州に入って間もなく、映秀鎮で道が二手に分かれる。とりあえず左に曲がるとしよう。間もなく、パンダの古里である臥竜に到着する。2006年の7月、四川省のパンダ保護区がユネスコの世界自然遺産に登録された。中国共産党政権下での行政区分に基づく四川省では5つ目の世界遺産であると同時に、チベットにとっても5つ目の世界遺産となる。世界に輸出されたパンダのほとんどはこの地域の出身である。

四姑娘山

 さらに西へ進むと、東チベットを代表する自然観光地である四姑娘に到着する。四姑娘は日本語で「しごじょうさん」と読むが、中国語の発音を用いて「スークーニャン」と発音するのが一般的である。地図で見ると都江堰からスークーニャンはさほど離れているようには見えないが、チベットは険しい山道の連続なのでだいたい5,6時間はかかる。しかもスークーニャンは標高6250メートル、観光客が立ち入れるエリアでも標高4000メートルを超える。チベット人から聖山として崇められている四姑娘山の由来は4人の美しい娘がパンダを守るために獰猛な豹と戦ったという伝説から来ている。行政区画では小金県とブン川県にまたがっている。また、複雑な地形と変動激しい気象条件によって、生態系も複雑になっており、世界中の植物学者を引き付けている。

 映秀鎮に戻って、今度は右に行くとしよう。国道213号線を北上すると九寨溝と黄龍へと向うことになる。かつては九寨溝への道は相当な難所でバスの転落事故が何回も発生した。事故に会わなくても、九寨溝にたどりつくには相当な悪路で大地震のように揺れまくるバスの中で十数時間も耐えなければならなかった。現在では道路が大幅に整備された。今でも所要時間は十時間近くかかるが、バスはさほど揺れず、以前と比べれば段違いに快適となっている。

映秀鎮から213号線をしばらく北上すると?川という町にたどりつく。ここは川下りの名所でもあり、中国人がボートに乗ってレジャーを楽しんだりしている。?川でも道が二手に分かれているが、とりあえず右に行って213号線を北上しよう。すると茂県という町に到着する。

 茂県の中心部は何の変哲も無い普通の町だ。213号線の両側に商店が並ぶ。チベットらしい雰囲気は全く無く、中国のどこにでも存在するような地方の小都市である。だが都江堰から九寨溝までは一日がかりの移動となるので、茂県で経由のために宿泊する観光客も多く、ホテルなどはそこそこ充実している。こんな山奥によくこれだけ現代的な町を築いたのだと感心してしまう。ただし茂県全体は4千平方キロメートルの面積があり、人口の88%をチャン族が占めるという。チャン族といえば茂県の東には綿陽市の北川チャン族自治県が隣接している。

九寨溝
黄龍

さらに北上すると松藩県に到着。かつての松藩は城壁都市で、現在でも城門と橋が残されている。甘粛省に近く、回族が比較的多くて、人口の20%を占めている。松藩県は世界自然遺産黄龍を抱えている。黄龍はカルスト地質が作り出した3000以上の大小の池が段上に連なっている。最大のものは4000平方メートルにもなる。黄龍の入口附近は大規模な観光開発がなされ、広大な駐車場、大規模なレストハウス、どでかい入場門が整備された。黄龍で道は左右に分かれ、国道213号線は左側に続いているのだが、九寨溝に行くためには右に入る。

黄龍から約150キロ北上するとついにチベット随一の自然観光地世界遺産九寨溝に到着する。ミネラル成分の多い湖の水質が実に鮮やかな色彩を作り出している。九寨溝は都江堰から国境を越えてチベットのアバ州に入ってから車で約10時間の距離にある。現在では空港もオープンしたが、バスで訪れる観光客のほうが圧倒的に多い。九寨溝の入場料はなんと300元、日本円で約4千円だ。都市部の中国人にとっては月給の10分の1、農民にとっては月給がまるまるふっとぶ金額だ。通常ツアーでは九寨溝と黄龍はセットになっている。中国が好きか嫌いか、チベットに興味があるかないかに関係なく、九寨溝・黄龍は一生に一度はぜひとも訪れたい観光地である。九寨溝はあまりにもメジャーすぎて世界中から観光客が集まり、日本人の団体客にも頻繁に遭遇する。伝説によると、女神が悪魔と戦ったとき、魔法の鏡を落とし、壊れた銀色の鏡の破片が九寨溝の多彩な湖になったという。九寨溝を過ぎると、地図で見た限りでは道路はUターンをするような感じで(実際には曲がりくねった山道のはず)南下し、綿陽市の平武県にはいる。

アバ州の集落

 ここまで紹介した臥竜、スークーニャン、九寨溝、黄龍はいずれもアバ州の東部に位置する。実際にはまだまだ西のほうにアバ州は広がっているのだ。アバ州東部にもチベット人が多く居住し、山道の途中にはチベット人の伝統的な集落がちらほら見られる。だが残念なことにブン川県、茂県など東部地域のチベ人はチベット語を忘れ、四川方言を話す人が多いという。特に大躍進運動から文化大革命終結まで約20年にわたって教育現場からチベット語が一掃されたことが暗い影を落としている。やはり中国に近い分だけ中国の影響をもろに受けているのだ。しかも世界に誇る観光地を多く抱えているがゆえに、皮肉なことに中国人による大量移住を招いてしまった。

 アバ州の過半数の人口を占めるチベット族は意外に多様である。アバ県、紅原県、ゾルゲ県、壤塘県、松藩県など主に北部では主にアムド方言を、マルカン県、金川県、小金県、理県など主に西部ではギャロン語を、黒水県ではチャン語を話すという。アバ州のチベット族の約50%がアムド方言を、30%がギャロン語を、13%がチャン語を話している。ギャロン語はチャン語系の言語でシナ・チベット語族チベット・ビルマ語派の中でも原始的な形を留めていると言われ、言語学者の注目を集めている。

普通の中国建築に見えるが、これはアバ州のモスク。
 チャン族は茂県、ブン川県、理県、松潘県、黒水県などに居住している。漢字で羌という字が当てられており、この民族は西暦前の周王朝の文献にも出てくるが、当時の羌族がチャン族につながっているのかは不明である。また、チャン族もチベット系民族であることは間違いない。 なお、アバ州は人口の約3%を回族が占めており、時々清真寺(モスク)を見かけるのも興味深い。

 なお、ご存知の通りアバ州のブン川県では2008年5月12日に発生したマグニチュード8.0の四川大地震により(中国ではブン川大地震)甚大な被害をもたらした。アバ州ではブン川県と茂県の被害が深刻である。特にチャン族の伝統集落が壊滅したとの情報もあり、人類が誇るべき貴重な有形無形の遺産が失われたと思われる。もちろん人名被害も莫大である。犠牲者のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を願ってやまない。

 

 

 

アバ・チベット族チャン族自治州内の行政区分

県名
面積
人口
備考
ブン川県 4085 110,118 臥竜パンダ保護区、四姑娘山などの観光地を抱える。2008年の四川大地震の震源地。
理県 4318 約4万 米亜羅風景区を抱える。
黒水県 4356 56,273  
茂県 4064 約10万1千 人口の88%をチャン族が占める
マルカン県   約6万 アバ州政府所在地
小金県 5582 約7万4千 四姑娘山を抱える。回族が比較的多い。
金川県 5524 約7万  
壤塘県 6836 約3万  
松潘県 8486 67972 世界遺産黄龍を抱える。
紅原県 8398 約4万  
アバ県 10435 人口約6万  
ゾルゲ(若爾蓋県 10437 人口約6万  
九寨溝県     以前は南坪と称したが、世界遺産九寨溝を抱えているため改名した。

 

 

 

 

 


 




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