胡錦濤来日後に週刊東洋経済が掲載した破廉恥な論説

 

日本のビジネス誌で最大の発行部数を誇る週刊東洋経済には、表面的なテレビ報道と違って実用的で奥深い記事が多く、毎号興味深い特集記事を組んでいるし、中国に関する記事でもなかなか鋭いものが多く、私はそこそこ評価している。

ところで、胡錦濤訪日が終わって約2週間後に発行された東洋経済5月31日号には願望と妄想に満ちた論説が掲載されていたので紹介したい。なお、私はこの記事をもって東洋経済そのものを媚中派と断じるわけではないので誤解なきよう。
まずは全文を掲載しよう

 

5月初め、胡錦濤主席が訪日した。餃子問題、チベット弾圧批判、聖火リレー妨害騒動。胡主席の訪日直前は、国内の嫌中派が勢いづき、訪日は最悪のタイミングだったように思う。

 ところが、胡主席の対日外交がムードを一変させた。
 到着当日の午後から、現役の政治家に会う前に、胡主席は日本の古い友人・知人、その家族と面談した。"革新派の貴族"といわれた西園寺公一氏の長男、周恩来元首相と親交の深かった岡崎嘉平太氏の三男、政界引退後に日中正常化に余生をかけた松村謙三氏の次女、という人々である。

 胡主席は「井戸を掘ってくれた人は忘れません」と述べた。小泉時代、親中派の民間人をつらい時代を経験してきただろうから、胡主席のねぎらいの言葉は身にしみる。その気持ちは主席への高い評価となり、人口に膾炙される。
同時に胡主席の発言は、歴史認識で対立する嫌中派への強烈な皮肉でもある。逆風を乗り越えてきた「歴史の恩人」を顕彰するほどに、胡主席の「人物」が大きく見え、感情論に傾きがちな嫌中派は何やら小さく見えてくる。
 
卓球は"戦略競技"

人の心を扱う術において、胡主席は一枚も二枚も上手である。4月30日に22歳で死亡したリンリンの代わりに、新しくパンダ2頭を貸与することを表明し、国民の心をつかんだ。福田首相を東シナ海のガス田共同開発へ誘い込んだことは経済的に実のある成果だが、パンダ外交の成果はそれ以上だろう。

そして、早稲田大学での福原愛選手、王楠選手との卓球勝負。福田首相は卓球に加わらず、胡主席だけが汗をかいた。日本に300万人の愛好者がいる卓球は、胡主席にとって、戦略的競技である。

さらに、ワイシャツ姿でラケットを振る胡主席の写真は、欧米新聞を飾り、北京五輪への協力要請の、またとないアピールとなったはずだ。

訪日を境に、胡主席はそれまでの国際的な窮地から自ら脱することに成功した。四川大地震でも、日本を筆頭に海外支援団体を招きいれた。世界の人権派の指弾の矛先は、死者7万人もの犠牲者を出しながら、サイクロン被害者の海外支援を拒絶するミャンマーへと変わったのである。

学ぶべきは素直に学ぼう。とりわけ、対米偏重の小泉外交が続いたおかげで、アジアにおける日本の存在感は無残なくらいに軽くなった。胡主席が日本で展開したような外交を、日本はアジアで展開しなければなるまい。
手始めは、7月の洞爺湖サミットだ。福田首相には、中国のみならずアジアの心をひきつける言葉を発してもらいたい。

 

では具体的に検討するとしよう。

胡主席の対日外交がムードを一変させた。
ムードを一変させたのはあなたの周りだけではないか。現に胡錦濤来日当日は代々木で4000人の大規模な抗議デモが起きたし、日比谷公園前でも400人が激しい抗議行動が発生した。早稲田大学でも奈良でも抗議行動が起きた。

小泉時代、親中派の民間人をつらい時代を経験してきただろうから、胡主席のねぎらいの言葉は身にしみる。
小泉総理は単に戦没者を慰霊しただけで、しかもそれは不戦を誓い、平和を願ってのものだった。それに「ヒットラー賛美」だのと抜かして日本に食って掛かったのは中国側である。親中派をつらくさせたのは中国政府であることを忘れないように。それにむしろ親中派がつらくなったのは今年3月のチベット暴動以降ではなかろうか。チベット、東トルキスタン、法輪功、ダルフール、北朝鮮、環境破壊などなど中国共産党の悪徳行為を挙げるときりが無いが、今後も世界中の中国政府批判がますます強まると思われる中、「親中派」は「親中派」でいる限り今後ますますつらくなるだろう。早いうちにファシスト独裁政権には見切りをつけ、真の日中友好とは何なのかを考え直すことをお勧めする。

感情論に傾きがちな嫌中派は何やら小さく見えてくる。
現在進行形でチベット人が虐殺されたり拷問されたりしているのだからごく普通の健全な精神を持つ人間であれば嫌中派でなくとも感情的になるだろう。この論説を書いた人間は人権とか人間の幸福なんてどうでもいいのだろうか。中国政府によるチベット弾圧に国際的非難が高まる中で、チベット人の境遇について何も思わないのだろうか。他人の不幸にここまで無頓着でいられる心理は理解しがたいものがある。

人の心を扱う術において、胡主席は一枚も二枚も上手である
一体誰と比較して言っているのだろうか?わが国の福田総理と比較しているのか?それなら納得できる。

4月30日に22歳で死亡したリンリンの代わりに、新しくパンダ2頭を貸与することを表明し、国民の心をつかんだ。
妄想もここまで深刻化すると笑いを通り越して何だか哀れになってくる。産経新聞の世論調査では93%がパンダ受け入れに反対している。しかもパンダのレンタルにはどくギョーザ事件をもみ消す意図が見え見えである。パンダ外交は国民の心を全く掴んでなどいない。

訪日を境に、胡主席はそれまでの国際的な窮地から自ら脱することに成功した。
これについてはもはや判断のしようがない。胡錦濤が帰国したわずか2日後に四川大地震が勃発したからである。地震によって外交的窮地からは脱しただろうが、訪日の成果によるものではない。しかも今回の大地震はあまりにも規模が大きく、胡錦濤政権にとってはチベット問題以上の窮地であろう。被災地から離れているので、五輪の運営に物理的障害は無いだろうが、今でも多くの被災者が困窮している中で、五輪のムードをどこまで盛り上げていいのか、五輪委員会は苦悩していることだろう。

四川大地震でも、日本を筆頭に海外支援団体を招きいれた。
地震に対する中国政府の対応はそれなりに評価できるのは事実である。ただし、海外支援団体招きいれに関しては、むしろ対応が遅すぎたことが非難されるべきだ。日本の緊急援助隊は一人の生存者も救出できなかった。彼ら自信が一番悔しがっていることだろう。

この文章は書いた本人と周囲の一部の人間だけで盛り上がったのを、あたかも世論全体の意見であるかのように錯覚している破廉恥な論説である。マスコミの報道を見ていても、胡主席に対して批判的とまではいかなくても冷めた見方が主流であった。それはそうだろう。餃子問題も東シナ海ガス田もほとんど進展がなかったのだ。福田首相の支持率も胡錦濤訪日前よりむしろ低下した。

それから何より忘れてならないのは、胡錦濤が一貫して日本に友好的な姿勢を保ったのは、チベット問題で世界中から非難が高まり、日本でもかつてないほど対中非難が強まる中で、それくらい追い詰められていたことを意味している。日本は国交樹立以来一貫して屈服外交を展開してきたが、今回初めて中国に対してある程度有利な立場に立てたという意味では日本にとってそれなりに成果のあるものだったかもしれない。よりによって時の首相が戦後まれに見る売国奴なので成果も半減なのだが。

  

 

 
 

 


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