神奈川県平塚市の県立神田高校で、入学試験当日に乱れた服装をしていたり、試験中の態度に問題があった生徒を不合格にしていたことが発覚した件で、神奈川県教育委員会は渕野辰雄校長に対し、11月1日付で県立総合教育センターの専任主幹に異動させるという処分を下した。マスコミでも報道されているのでご存知の方も多いことと思う。
考えてみればおかしな話だ。私が中学生の時にも同学年で不良生徒は結構いたが、願書提出や入学試験当日には髪を黒くし、標準の制服を着て臨んだものだ。県教育委員会は、筆記試験と面接以外の要素で学校独自の裁量で生徒を不合格にしたことを問題視したらしい。教育委員会の言い分だと、筆記試験の点数が基準に達し、面接中の態度がよければ試験会場でタバコを吸ってもけんかをしても万引きをしてもいいという理屈になってしまう。こんなことはわざわざ規定を設けるまでもない常識中の常識ではないか。
渕野校長は荒れに荒れていた神田高校の風紀を改善させることに成功し、父兄からは圧倒的な支持を得ていたという。まじめに学校に通っている多数の生徒たちの人権とよりよい環境を守るために努力してきた渕野校長に対し、処分を下した教育委員会の行為はまったく理不尽なものであり、横暴としか言いようがない。
そこで11月4日、主権回復を目指す会が中心となって神奈川県教育委員会に抗議行動を行うこととなった。当日、横浜関内の県教育委員会が入っている住宅供給公社ビル前には約20人が集まった。西村修平氏らが演説を行い、20人の参加者がシュプレヒコールを挙げた。通りがかりの歩行者はしばしば我々に拍手を送ってくれた。
抗議文の朗読が終わった後、我々はいよいよ住宅供給公社ビルに突入。エレベーターで4階まで上がると、職員から5階の会議室を案内された。教育委員会からは職員7人が会議に参加。西村氏のほか多数の参加者が強い抗議の意思を彼らに伝え、渕野校長への処分撤回を要求した。参加者から次々と飛び出す糾弾の声に、職員たちは終始うつむき加減で狼狽した様子であった。
45分ほどの会議が終了後、再び外に出て15分ほど街宣を行った後、抗議活動は終了した。演説の様子や会議の様子は動画にアップロードしているので時間が有ればぜひご覧いただければと思う。
1本目の動画では3人の弁士の演説と抗議文の朗読を収録している。みな論点が明確で、教育委員会の決定のどこに問題があるのかが鋭く指摘されている。2本目の動画はビルに入場する場面と会議室での様子を収録している。
3本目の動画は教育委員会の職員が自分たちの立場を説明している場面を約7分間ノーカットで収録している。私は教育委員会が下した渕野校長への処分には大いに憤慨しているが、今回の抗議活動で我々参加者全員を招きいれ、会議の場を設けて我々の意見に耳を傾けたことは評価できると思う。
例えば胡錦濤の早稲田講演の前日に早稲田大学で行った抗議活動では、職員がすぐに飛び出してきて西村氏の演説を力づくで妨害した(私は西村氏が早稲田の職員によって地面に押し倒されたのをこの目ではっきり見ている)。さらにひどいことに早稲田大学は抗議文書の受け取りさえも拒否したのだ(事前に受け取るという約束をしていたにも関わらず)。それに比べると神奈川県教育委員会はまだ聞く耳を持っているだけでもましと言えよう。ある程度公平さも帰すべきという配慮から、教育委員会側の言い分を編集せずに動画で公開した次第である。多くの方は7分間の長ったらしい話を聞いても退屈だと思うが、この問題に関心を持っている方はぜひ参考までに見ていただければと思う。
4本目は会議の続きと街宣の様子を収録している。
近年、日本の教育の衰退が著しい。教育の停滞は確実に国力の停滞につながる。日本のよりよい将来を築き上げていくためにも、ぜひ渕野校長への処分撤回を実現したいものだ。
演説する主権回復を目指す会の西村修平氏。
約20人の参加者がシュプレヒコールをあげる。
抗議文を朗読する有門大輔氏。
教育委員会に突入。
エレベーターで4階に上がってから、5回の会議室に案内されました。
会議室で県教育委員会の職員に直接抗議。
抗議文を読み上げる有門氏
教育委員会の立場を説明する職員。詳しい内容はこちら。
職員たちは終始うつむき加減で狼狽していた。
神奈川県教育委員会に対する抗議行動1
神奈川県教育委員会に対する抗議行動2
神奈川県教育委員会に対する抗議行動3(教育委員会側の言い分)
神奈川県教育委員会に対する抗議行動4
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